教育をテーマに若者の集まりを〜「グローバルな目利き」と「メディアとしての交流・体験」〜

はじめまして。

自分は、ハーバード大学の教員の授業をオンライン化する仕事をしている組織(HarvardX)でインターンをしています。もともと京都大学でオンライン教育についてのプロジェクトに参加していた自分は、オンライン教育のメッカであるMITやハーバード大学でどのような取り組みが行われているか、その背景にどのような事情があるのかに強く興味を持ったことがきっかけで留学をしています。

こちらに留学を来て感じていることを伝える機会をもらったので、こちらに書かせていただきます。一人でも共感してくれる人がいたら嬉しいです。

 

1.アメリカに来て感じたこと

アメリカに来て1ヶ月、いままで自分が当たり前だと思っていたことが、じつはユニークだったり、文脈に依存したものだったと感じることが多くあります。

オンライン講座を作る際の日本での一つの大きな課題は「誰がやるか」です。英語でのティーチングのスキルがあり、かつテーマに通用性がある先生を見つける必要があります。そのような先生を見つけるのが難しく、先生の負担も大きいという課題がありました。そこでハーバード大学では、どのようにこの課題に取り組んでいるかを知りたいという意気込みとともに乗り込みました。

そうしたら意外な答えが。こちらではオンライン講座の制作は先生側による立候補制なのです。自分の講座をオンライン化したい人が提案書を提出し、その内容で可否を判断し、承認されたものがオンライン講座化されるという流れです。

そう、自分が最初に持ってきた「どうやってオンライン講座の先生を見つけているのか」という課題は、そもそもこちらでは課題ですらありませんでした。この背景には、例えばハーバード大学では以前から授業を録画し、授業の記録をLMS(学習管理システム、授業の教材や課題を管理・共有するウェブプラットフォーム)を使って学生に配信することが普通におこなわれていて先生が慣れていたことや、そもそも英語でのティーチングに全く違和感がない(日常言語だから)といった、種々の背景があります。

このことから、自分たちの置かれている状況を他の視点を持つ人からどう見られるのかを知ること、あるいは他の文脈からの視点を持ち込んで解決方法を考えることは大切だと痛感しました。そもそも、先ほどの自分の経験のように、他の視点から捉えると、そもそも課題自体が違っているということはよくあることなのかもしれません。

2.「グローバルな目利き」になる

逆に言えば、日本でおこなわれていることが、違う視点から見ると、非常に意味のある取り組みである可能性もあるでしょう。実際僕はそのようなものをたくさん知っていますし、皆さんも身の回りにたくさん見つけられるのではないでしょうか。

ただ、ここで注意しなくてはいけないのは、それが「他の視点から見ても意義があること」です。つまり、ただ「伝統的なものだから良い」「地域に根ざしたものだから良い」ではなくて、それが他の文化で使われても有意義なものであることが求められるということです。このようなものを見出すには、他の文化からの視点を持ち、かつ「誰かから求められているもの」「良いとされているもの」に対する目利きの能力が必要です。

目利きになるにはたくさんのものを知らねばならないとされます。私は、グローバルにいろんなものを知り、グローバルに通用するものを見つけ出すことができる「グローバルな目利き」となって、日本にあるものを見つめ直す必要があるのではないかと感じています。特に、教育分野では課題が山積だからこそ、そのような人材の必要性が高いと考えています。

「グローバルな目利き」になるためには、まず自国のことを知った上で、他の視点を持つ必要があります。私はトビタテでそのような機会をもらっていますが、まだ一つの文化に過ぎないし(自分の場合はアメリカ)、そもそも教育にまつわるテーマを持っている人でトビタテに行かない人はたくさんいます。自分が「グローバルな目利き」になるために、そして教育に関わる人たちの間に「グローバルな目利き」が増えるために、自分たちを見つめ直し他の視点から見てもらう機会をつくりたいと思うようになりました。

3.「メディア」としての交流・体験

もう一つ注意しなくてはいけないのは、いくら良いものがあったとしても、そもそも存在を知られなければ意味がないということです。ですので、メディアをつくって発信することが必要です。しかし、ただ記事にして発信するだけでは、実際にその取り組みや場所が持っている価値を伝えるのは非常に難しいことだと思います。なぜなら、言葉にはしきれない魅力こそが、その良さの根源だったりするからです。

では、どのような手段があるのでしょうか。例えば、そのような取り組みをしている人と交流したり体験してもらうこと自体が非常に効果的な発信の手段になりえます。むしろ、将来的にその道の専門家・実践者になりそうな人たちにそのような機会を届ければ、数は限られていても、非常に意味のある発信方法になりえます。「メディア」の一つとして交流・体験の機会を作り、発信したい人を巻き込んでいくということはできないでしょうか。

4.トビタテを基盤に。

「グローバルな目利きになる」「メディア」を作る、この二つを実現するために、教育をテーマにした、若者の会議をできないだろうかと考えています。将来、その分野の実践者になる人たちが集まって、議論し、現場を見、自分たちなりのアプローチを考える場。その中に、日本の、世界の問題関心や視座にも通用する取り組みを思考の補助線として紹介することで、将来の実践者たちにも伝えられるような場が生まれ、インフラとして多くの教育に関わりたいと思う人たちが通っていくような場をつくりたい。たとえて言えば、教育版のSTeLA*のようなイメージです。

世界各地で修行をして帰ってくるトビタテ生は、「グローバルな目利きのタマゴ」だと思います。だからこそ、このトビタテの輪を基盤として、このような取り組みができたらいいのではないかと考えています。

長文におつきあいいただき、ありがとうございます。大風呂敷を広げてみましたが、もし共感する方がいたらお話ししましょう!自分はこう思ったとか、そういうことがあったら聞かせてもらえると嬉しいです。

*STeLAとは「理工系のリーダーシップ」をテーマとした、日本人学生を中心に2006年に創設された学生会議です。

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