極寒の大地でソフトウェア工学を語る

はじめまして.トビタテ第3期生の藤野です.
何の縁からか,9月のトビタテ便りの記事を書く運びとなり,「濃すぎて誰が読むのか不明な専門の話」という,なんとも形容し難い記事を書いている次第です.

専門の話とは言ったものの,専門外の人でもわかるように書いて欲しいと依頼されているので,なるべく専門用語は使わないように気をつけて書こうと思います.3週に渡って記事を更新しますので,徐々に詳しい内容に入っていこうと思います.

極寒の大地とは書いたものの,今カナダは秋なので,半袖で研究室に通っているくらい暖かいです(笑.真冬は-30度くらいまで下がる日もあるそうで,寒さに負けないよう熱く語っていけたらなと思います.

まずは簡単な自己紹介から.


 

[1] 自己紹介

 

名前:藤野 啓輔(今話題の監獄学園の主人公と同じ名字)

出身:山口県

大学:奈良先端科学技術大学院大学

専攻:ソフトウェア工学

留学内容:カナダのモントリオールにある,Concordia University の研究室で,9月から1月まで共同研究を行う予定です.

storageemulated0DCIMCamera1441030439870留学先のConcordia University

6075049376_eecabcedf7_b観光地として人気のあるノートルダム大聖堂

 

研究の話をする前に,私の在籍する大学である,奈良先端科学技術大学院大学(以下,NAIST)から説明する必要があるでしょう.

NAISTは,学部を持たない大学院大学として,1991年に設立された大学です(ちなみに私が生まれた年でもある).学部を持たない独立大学院であるため,同学年は他大学や高専から受験を経て入学してくる学生であり,研究に対する意欲が非常に高い学生が集まっています.文部科学省の研究大学強化促進事業の支援対象大学でもあります[1].

現在私は,博士前期課程(修士)2年に在学中であり,ソフトウェア工学を専攻しています.まず,ソフトウェア工学という分野を持つ大学が多くなく,知らない方も多いと思いますので,まずはソフトウェア工学について説明します.


 

[2]ソフトウェア工学とはなんぞや

まず始めにソフトウェアウェア工学の定義ですが,IEEEのガイドラインによれば,

ソフトウェアの開発・運用・保守に関して体系的・定量的にその応用を考察する分野である[2]

と述べられています.自分なりの言葉で説明するのであれば,

「ソフトウェア開発過程で蓄積された過去の開発記録を収集し,統計的手法に基づく分析から得られる知見を,現在のソフトウェア開発へ応用する」

と言ったところでしょうか.それでは,私が現在までに行ってきた研究を紹介しながら,この専門についてお話していこうと思います.


 

[3]研究事例

code-820275_1280

ソフトウェア工学,と一口に言ってもその研究対象は多岐に渡ります,

例えば,

  • 過去のソフトウェア開発に掛かった工数を,その開発に携わった開発者数や,製品の規模といった,測定可能な情報を元に,ソフトウェアの開発工数予測
  • ソフトウェアを形成するソースコードの中で,どのソースコード中に欠陥が含まれているのかを予測する,欠陥予測
  • ソフトウェアそのものではなく,ソフトウェアを開発する開発グループ(開発コミュニティ)内のコミュニケーション量が,製品に与える影響を分析

などなど,その研究対象はソフトウェアのみならず,ソフトウェア開発に関わる全てのものにあると言っても過言でもないと思います.

私の在籍する研究室のメンバーの中には,プログラミングを行っている作業者の脳血流を計測し,プログラムの困難さを計測する試みも行われています.

Screen-Shot-2013-04-05-at-6.35.38-PM1-300x228

脳血流計測装置

近年は,ソフトウェア工学に他分野の知識を応用する研究も盛んに行われており,自然言語処理によるテキスト解析を適用し,開発者の感情を測定したり,ゲーム理論を用いて,開発者の行動における信念推定の試みなども行われています.

このように様々な研究が行われていますが,その中でも私が興味を持っているのは,オープンソースソフトウェア(OSS: Open Source Software)に関する研究です.私は,このOSSに興味を持ったため,このソフトウェア工学を志望しました.今回は第1回の記事ということで,このくらいで終わろうと思います.

次回は,私の研究対象である,OSSについて説明し,実際にどのようなデータを,どのように収集し,どのように分析しているのかを説明していこうと思います.

参考までに,私の所属する研究室のリンクを下部に載せておきます.(facebook記事もあります 笑)

 


 

引用・参考

[1] 文部科学省 研究大学強化事業http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/sokushinhi/

[2]IEEE Standard Glossary of Software Engineering Terminology,” IEEE std 610.12-1990, 1990, quoted at the beginning of Chapter 1: Introduction to the guide “Guide to the Software Engineering Body of Knowledge

[3]研究室HP  http://se-naist.jp/?post_type=topic

 

この人に、留学相談したい方は、Diverseasからどうぞ