オーストラリアからのトビタテ便り3〜南十字星みーつけた〜

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キャンベラ深宇宙通信施設にあるアンテナ

ホホウ! 本日の更新はオーストラリアからのトビタテ便り3〜南十字星みーつけた〜です。星と星の間にある暗い闇にもたくさんのものが存在していて、それを見るための多波長観測?! 一体何を言っているんだぜ…要チェックです!

トビタテ便りとは

トビタテ便りの詳細についてはこちらのページをご確認ください。世界中に留学しているトビタテ生から、週に1度1ヶ月の短期集中連載を行ってもらっています。ルールは2つ。「留学先の写真を載せてもらうこと」と「普通の友達には話せないような濃ゆい専門の話を思う存分ぶちまけてもらうこと」です。

7月のトビタテ便りも3人のトビタテ生に描いてもらっています。本日の便りは、天文学。星空、銀河、ロマンあふれる響きですがその深すぎる話を、齊田 智恵さんに聞いてみましょう。

これまでの連載記事  

本文

第3回目は多波長でみる宇宙というテーマで書いていきたいと思います。
 晴れた夜に空を見上げると星が見えます。でも星と星の間は真っ暗で何もないと思ったことはありませんか?私たちの目に見えてないだけで星以外のいろんなものが存在しています。

電磁波

 電磁波とは電場と磁場によって作られる波のことです。宇宙空間に存在するあらゆるものは電磁波を放射しており、その電磁波を地球でキャッチすることで宇宙で何が起こっているのかがわかります。電磁波は図のように長いものから短いものまで様々あります。
 波長が長い方から電波 (Radio waves)、マイクロ波(Micro waves)、赤外線 (Infrared)、可視光 (Visible Light)、紫外線 (Ultra-Violet)、X線 (X-rays)、ガンマ線 (Gamma rays)。波長が長いほど周波数とエネルギーが低い電磁波になります。

電磁波(出典:NASA)[1]

この中で私たちは非常に狭い「可視光」の範囲のみで普段世界を見ています。

これらの電磁波で天の川を見ると・・・

私たちがもし、可視光ではなく他の電磁波を見る目を持っていたら夜空はどんな風に見えるのでしょうか。これは天の川を多波長の電磁波で観測した図です。

多波長の電磁波で見た天の川銀河(出典:NASA)[2]

多波長の電磁波で見た天の川銀河(出典:NASA)[2]

 電波からガンマ線まで様々な波長で観測が行われています。
上から波長の長い順に・・・
  • 電波(連続波 (408MHz)、水素原子ガス、連続波 (2.4 – 2.7 GHz)、水素分子ガス)
    • 水素原子ガスや水素分子ガスなどが見えます。ガスは星の材料にもなるので電波では星が生まれるところを見ることができます。他にも遠くにある高速に回転する天体パルサーや銀河の観測が可能です。[3]
  • 赤外線(赤外線、中間赤外線、近赤外線)
    • 可視光で観測できる天体よりも低い温度を持つものは赤外線で光っているものも多いので温度の低い星や惑星、星雲などの観測に適しています。可視光よりも波長が長く、ダストやガスに遮られずに観測ができます。[4]
  • 可視光
    • 基本的に私たちが見ている星空はここの波長領域です。恒星や太陽の光を反射している太陽系の惑星などが見えます。色によって恒星の温度の違いがわかります。青いほど温度が高く、赤いほど温度が低いです。
  • 紫外線
    • 新しく生まれた若くて大きな星とその周りのガスなどから観測することができます。系外銀河(天の川銀河以外の銀河)を紫外線で見ると可視光とは違った星の分布が見えます。[5]
  • X線
    • 高いエネルギー活動がある中性子星やパルサー、超新星爆発などの他に恒星のフレア活動なども見ることができる。天の川銀河以外の銀河では活動が活発な部分の観測ができる。[6]
  • ガンマ線
    • 電磁波の中でも一番波長が短く、エネルギーが高い波。宇宙の中でも高いエネルギーを持つ中性子星やパルサー、超新星爆発、ブラックホール周辺から観測されます。[7]

このように何が調べたいかによってどの波長で観測すれば良いのかが変わってきます。また、異なる波長のデータを見比べてわかることも多くあります。もちろん、ここに書いたもの以外も見えるものは沢山あります。ぜひ「今週の天文リンク」のサイトへ行ってみてみてください。

大気の窓

 残念ながらすべての波長を地上から見ることはできません。可視光線や近赤外線、そして電波は地上からも観測できます。この地上でも観測できる波長帯を「大気の窓」と呼んでいます。その他の波長帯の電磁波はほとんどが大気に吸収されてしまいます。可視光などもできるだけよく見えるようにするためには大気が薄い場所に観測所を建てられています。
大気の窓。(出典:NASA/IPAC)[8]

大気の窓。(出典:NASA/IPAC)[8]

 地上で観測できない波長の観測は宇宙望遠鏡にお任せです。人工衛星に望遠鏡を積んで宇宙空間から観測をしています。X線ではチャンドラ宇宙望遠鏡やROSAT望遠鏡、ガンマ線ではフェルミ宇宙望遠鏡などが活躍しています。

今週の天文リンク

今回のテーマをビジュアルで体感できるサイトです。この記事で紹介されたものの他には何が見えるのか?どんな望遠鏡がどの波長で活躍中?などいろいろ知ることができます。写真もとてもキレイです。

国立天文台/多波長で観る宇宙:http://www.nao.ac.jp/study/multiwave/

参考

[2] The Multiwavelength Milky Way (NASA) | http://mwmw.gsfc.nasa.gov/mmw_product.html
[6] Chandra X-Ray Observatory | http://chandra.harvard.edu/field_guide.html

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