オーストラリアからのトビタテ便り1〜南十字星みーつけた〜

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74インチ望遠鏡のドーム
ホホウ! 本日の更新はオーストラリアからのトビタテ便り1〜南十字星みーつけた〜です。今回の専門はなんと天文学になります。空を見るのがお仕事? それは天体観望!? 馴染みのあるようでまるでない世界を、ちょっと覗いてみませんか。

トビタテ便りとは

トビタテ便りの詳細についてはこちらのページをご確認ください。世界中に留学しているトビタテ生から、週に1度1ヶ月の短期集中連載を行ってもらっています。ルールは2つ。「留学先の写真を載せてもらうこと」と「普通の友達には話せないような濃ゆい専門の話を思う存分ぶちまけてもらうこと」です。

7のトビタテ便りも3人のトビタテ生に描いてもらっています。本日の便りは、天文学。星空、銀河、ロマンあふれる響きですがその深すぎる話を、齊田 智恵さんに聞いてみましょう。

本文

 はじめまして。電波天文学の研究のためにオーストラリアに留学中の齊田と申します。広い天文学の分野をすべてカバーすることはできませんが少しでも宇宙や天文学に興味を持っていただければ嬉しいです。これから1ヶ月間よろしくお願いします。
〜星座の話〜
 連載早々でタイトルについてコメントしたいと思います。「南天で有名な星座は?」と聞くと一番多い回答が「南十字星」と答える方が多いとです。実は南十字星というのは通称であり、正式にはみなみじゅうじ座という名前があります。
 古来から人は星空を見上げ、星々をつなげて星座を作りました。北半球には大航海時代になり、人々が南半球に進出するようになると新しい星座が多数作られました。各地方で色々な星座が作られてたため、1930年に国際天文連合(IAU)が全天の星座を整理し、88個の正式な星座を定義しました[1]。
 「南十字星」と日本語で呼ばれているのは88星座の中で一番小さい「みなみじゅうじ座」という星座です。英語では正式名称はCruxですがSouthern Crossの名で親しまれています。オーストラリアとニュージーランドの国旗を見るとみなみじゅうじ座が輝いていますね。パプア・ニューギニアとサモアの国旗にもみなみじゅうじ座を見つけることができます。天の川にある明るい星座で比較的見つけやすい星座です。近くに紛らわしいニセ十字と呼ばれる星の並びがあるので注意が必要ですが見つけるコツさえ身につけてしまえば空を見上げて一発でわかるようになります。
 みなみじゅうじ座
〜観測と観望〜
 天文学を研究していると「毎晩星を見ていますか?」という質問を時々聞かれます。鹿児島にいたころは全くと言っていいほど星を見ない人でしたがオーストラリアの留学先が山の上なので晴れている日の帰り道には星空をちらちら見ながら帰っています。星空を’見て’「きれいだなー」と楽しむのは観測ではなく、観望と呼びます。観望を観測にするにはもう一歩踏み込んで数値で表すということをします。天体の明るさや色を数値で表す、同じ天体を数ヶ月や数年ごとに観測してその天体の速度や運動を求めるなど、天体の状態や現象を数値で表すことで天文学を研究する上で必要な「観測」をしていることになります。
〜観測天文学と理論天文学〜
 天文学は研究の手法によって観測天文学と理論天文学の大きく2つの分野に分けることができます。
 観測天文学は宇宙の天体などを観測し、そのデータをもとに研究します。観測する対象としては星はもちろんのこと、惑星、星雲、ガス、銀河など様々です。また観測に使用する望遠鏡は様々な種類があり、電波、赤外線、光、紫外線、X線、γ線などあらゆる波長で観測することができます(第3回で詳しく触れます)。
 理論天文学では望遠鏡を使わずにコンピュータや紙と鉛筆をもちいて研究します。コンピュータシミュレーションで宇宙で起こっている物理現象を再現することも可能です。星形成の現場や銀河衝突、活動銀河核など様々な現象を対象に研究が進められています[2]。観測天文学で得られるデータは観測した時のもののみですが、シミュレーションでは何億年もの時間スケールでの天体の運動や現象をコンピュータで再現することができます。
 理論で予測されたことが観測によって実証されたり、観測された天体の物理現象が理論で明らかになったりと天文学は観測と理論のどちらが欠けてもなりたちません。
〜「星、見てますか?」「いいえ、パソコン見てます」〜
 天文学を研究していると「宇宙の研究なんてロマンチックですね」とか「星を見れるなんていい研究ですね」と言われることがあります。それを聞くたびに「ちょっと違うんだけどなー」と思ってしまいます。実は天文学の研究をするときはほとんどの時間、星空ではなくパソコンを相手にしています。観測天文学で望遠鏡を動かす時にはコンピュータから命令を送って望遠鏡を制御します。また、観測データの解析や研究結果を論文化する時にも全てコンピュータで行います。理論天文学ではシミュレーションをすべてコンピュータ内で行っています。私もプログラムを組んで電波望遠鏡の観測データから必要な情報を引き出す、図を作る、物理量を計算するという作業をひたすらしています。
宇宙や天文学の話を聞くとロマンチックかもしれませんが研究している時はそこまでロマンチックさは感じないですね(笑)。
さて、第1回では天文学のもろもろをあまり整理せずに書いてきましたが次回以降は次のような内容で書いていきたいと考えています。是非お楽しみに。
第2回 宇宙のスケール
第3回 多波長で見る宇宙
第4回 観測
〜今週のリンク〜
NASA Astronomy Picture of the Day
毎日きれいな宇宙や天体の写真を楽しみたい!という方にオススメのリンクです。NASAが撮った写真やアマチュア天文家が撮った写真まで幅広く扱われており、毎日更新されます。FacebookページやTwitterアカウントもあるのでお気軽にお楽しみください。
〜参考〜
[1] International Astronomical Union | Constellation http://www.iau.org/public/themes/constellations/
[2] 日本における天文学・宇宙物理学の理論的研究 第7号 http://rironkon.jp/nihon/riron7.pdf

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