イギリスからのトビタテ便り3〜人体最大の臓器〜

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ホホウ! 本日の更新はイギリスからのトビタテ便り3〜人体最大の臓器〜です。人体最大の臓器、それは皮膚。ロンドンで学ぶ間祐太朗さんが見ている世界を要チェックです。

トビタテ便りの詳細についてはこちらのページをご確認ください。世界中に留学しているトビタテ生から、週に1度1ヶ月の短期集中連載を行ってもらっています。ルールは2つ。「留学先の写真を載せてもらうこと」と「普通の友達には話せないような濃ゆい専門の話を思う存分ぶちまけてもらうこと」です。

6月のトビタテ便りは2人のトビタテ生に書いてもらっています。本日の便りは、イギリスから。ロンドンの研究グループで薬学の最先端を押し広げるべく研究した間祐太朗さんから届いています。

今までの連載 1 2

リージェンツ通り

リージェンツ通り

前半部

さて、先週の便りでは、皮膚の構造について、簡単に記述し、その構造からいかにバリアとしての機能を発揮するのかをお話ししました。

今週は、皮膚における物質透過(inside-outおよびoutside-in)の最大のバリアと考えられている、角層(表皮の一部で、死んだ細胞が積み重なったもの)をさらに覗いてみましょう。

表皮は4層構造になっており、基底細胞からなる基底層から細胞が分裂・分化、そして核や細胞小器官失い、最外層の“角層”となることをお話ししました。

実は、この角層を構成しているのは、表皮角化細胞だけではありません。角層の構造は、よく《レンガモルタル構造》と呼ばれるのですが、これは、死んだ表皮角化細胞がレンガ部分のように積み重なり、その角化細胞間をモルタル(漆喰)のように、“角質細胞間脂質”が満たされています。

この角質細胞間脂質は、主にコレステロール、セラミド、遊離脂肪酸など、つまりは脂質なのです。これらは表皮角化細胞が、顆粒層から角層へと分化する(角化)際に、細胞質に含んでいたこれら脂質を吐き出すことで、角化細胞間の間に密に分布し、角化細胞間をしっかりと接着し、強固なバリアを形成するのです。

角質細胞間脂質は、細胞膜の脂質二重膜を形成する脂質と同様に、その構造内に疎水性尾部と親水性頭部を有する両親媒性の脂質です。それぞれ疎水性部と親水性部が隣あう脂質と同じ方向を向き配列することで、1層の脂質膜を形成し、さらに、他の1層膜と疎水性尾部側が引き付け合うように膜が2重層を作るように並ぶことで、脂質2重層が形成されます。この2層の脂質膜ですが、内側の疎水性尾部が位置し、外側を向くように両外側に親水性頭部が並ぶため、この脂質膜間で水を挟むことが出来ます。すなわち、角層に保湿維持に重要な役割を担っているわけです。他にもアミノ酸類やミネラル、尿素など天然保湿因子(NMF: natural moisturizing factor)と呼ばれる低分子が皮膚の保湿に寄与しています。

角層は、皮膚における物質透過最大のバリアを成しています。実のところ、角層バリアだけでなく、角層下、生きた表皮(死んだ細胞から成る角層を除いて表皮を総称すると“生きた”となる)のうち、顆粒層の上部から2層目(一般的に3層構造)のにタイトジャンクション(密着結合)と呼ばれる、細胞間をタイトに結合するタンパク質間の細胞接着様式が存在します。このバリアも非常に重要であり、今現在、角層バリアとタイトジャンクションバリアの2つが皮膚のバリアの主要因とされています。しかしながら、タイトジャンクションに関するお話しはトビタテ便りではやめておきます(非常に興味深い分野ですが、、、)。

便り1からここまで、皮膚がバリアとして非常に重要であり、それを構造の面から記述してきました。ただし、実はこのバリア、完全ではありません。

みなさんは、軟膏剤やクリーム剤もしくは貼付剤など皮膚に適用する医薬品を使用したことはありますでしょうか。今まで皮膚はバリアといってきましたが、そのバリアを超え、薬の効果を発揮させるという考え方があるわけです。

次回は、どのような物理化学的性質を有する化学物質がバリアである皮膚を越え、その先で薬効を発揮するのか、また、皮膚の状態によりその効果に影響が及ぼされるのか、自身の考えも含め、深く議論したいと思います。

ハイドパークにきた巨大移動遊園地

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後半部

ライフワークバランスについて
私が、留学中に常々考えさせられたことがあります。それは、6ヶ月、ロンドン大学で研究を行っていたのですが、大学院生やポスドクの人たちは、自分の来たい時間にきて、帰りたい時間に帰っていました(当然、研究スケジュールに沿っているとは思いますが)。日本の大学で、朝早くから夜遅くまで、月曜日から日曜日まで大学で研究活動をしていた私にとって、かなり衝撃でした。ロンドン大学でも、長い時間研究活動を行っていたのですが、周りから、『なぜ、そんなにworkするんだ?』、『非効率的じゃないの?』とあまり、長時間活動することに対して、ネガティブな意見を持つ人が多かった。あくまでも個人的観測ですが、傾向としては、EU圏内の学生のその意向が強く、EU圏外特にアジア圏の学生は、どちらかというと活動時間が長かったような気がします。あくまでも、国民性と言ってしまえばそこまでですが、何か腑に落ちないとところがあります。研究分野に関して言えば、量や時間をかけて取り組むことが科学を発展させる一つの有効手段だと思っています。科学研究において何よりも重要なことが“再現性”だと思います。何度も何度も実験を繰り返し、精度の高い、真度の高い、再現性のある結果を出すことが科学の進展に繋がります。そもそも科学研究にゴールはありません。みなさんの分野におけるライフワークバランスはいかがでしょうか。今回は、気づきではなく、未だにクリアにならない疑問をつらつらと書いてみました。

行ってきました。プレミア。アルトンヴィラVSトッテナム。

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