イギリスからのトビタテ便り2〜人体最大の臓器〜

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テムズ川southbankからのセントポール大聖堂

テムズ川southbankからのセントポール大聖堂

ホホウ! 本日の更新はイギリスからのトビタテ便り2〜人体最大の臓器〜になります。「皮膚」という研究内容と、ロンドンでの気づきの二本立てでお送りしています。彼にはどんな世界が見えているのでしょうか?

トビタテ便りの詳細についてはこちらのページをご確認ください。世界中に留学しているトビタテ生から、週に1度1ヶ月の短期集中連載を行ってもらっています。ルールは2つ。「留学先の写真を載せてもらうこと」と「普通の友達には話せないような濃ゆい専門の話を思う存分ぶちまけてもらうこと」です。

6月のトビタテ便りは2人のトビタテ生に書いてもらっています。本日の便りは、イギリスから。ロンドンの研究グループで薬学の最先端を押し広げるべく研究した間祐太朗さんから届いています。

今までの連載 1

前半部

さて、先週の便りでは、皮膚の機能について、簡単に記述し、主にバリアとしての役割を担っていることをお話ししました。

今回は、皮膚のバリアとしての機能がどのように形成されているのか、皮膚の形態・構造から考えてみましょう。

皮膚は、外界から表皮(epidermis)、真皮(dermis)、皮下組織(subcutaneous tissue)と呼ばれる各層のからなる3層構造を形成しています(Fig. 1, Kanebo Cosmetics Global Corporate Site : Skin functions and structure)。

生体内側、皮膚の最下層に位置する皮下組織は、主に“脂肪”組織です。この皮下脂肪が、物理的な外部からの刺激に対して、クッションとして働くことで、骨や筋肉を守ります。また、体温の損失を防ぐ、脂肪組織を形成する脂肪細胞に蓄えられた脂肪滴の代謝による熱産生など、皮下脂肪は体温調節も担っています。

皮膚の中層にあたる真皮層は、その厚さが、後述します表皮(0.1-0.3 mm)に比べて、数十倍(1-3 mm)もあります。ゆえにこの中層に位置する層は、皮膚の大部分を占めており、皮膚の本体とも言えることから、“真”皮と呼ばれています。真皮は、弾力性に富み、また皮膚に強度をもたせているのですが、それは繊維状タンパク質であるコラーゲンとエラスチンのおかげです。皮膚に強度を提供するのが、コラーゲン(膠原繊維)であり、弾力性を供与するのが、エラスチン(弾性繊維)です。コラーゲンは、真皮中を網目のように巡らされており、エラスチンはそれと同じ方向におおよそ走行、もしくは絡み合うよう存在しています(Fig. 2 : Pittet, et al., 2014)。しかしながら、真皮層は、全体的に均一な単層膜ではなく、コラーゲンやエラスチンの繊維の状態が真皮の高さ方向で異なります。Fig.1にありますように、真皮層は表皮層に向かって、波打つようにめり込んだ様相をとります。この表に部分に向かって真皮が突き出しているところを真皮乳頭と呼び、この突起部分を乳頭層となります。この乳頭層では、先ほどの繊維は網目状でなく、まばらに点在し、かつ上行するように配置されています。乳頭層の下に位置し、その下、網状層と呼ばれ真皮最下層にいくまでの層が乳頭下層となります。この乳頭下層は、乳頭層と成分は同一でおよそ同一な構造となっています。その下の網状層は、繊維タンパク質が密に張り巡らされています。では、乳頭層と乳頭下層において、繊維タンパク質が疎に分布している分、ほかにどのような成分が主に含まれているのでしょうか。それは、肌の潤いに関連するヒアルロン酸をはじめとするムコ多糖類です。このムコ多糖類が水分をたっぷり含んでおり、肌の潤いやハリに影響します。
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最後に、皮膚の最外層である表皮です。こちらの層は、真皮層の上に位置しており、その95%が表皮角化細胞と呼ばれる細胞からなっています。表皮は異なる層が積み重なったものとなっており、皮膚の表面から、角層・顆粒層・有棘層・基底層の4層からなっています。もう一度言いますが、表皮を構成する細胞の95%が同じ表皮角化細胞です。上記4層で何が異なるかというとこの角化細胞の形態や、細胞間に存在する成分(ここでは詳細は触れません)です。角化細胞は、基底層にて、1層で存在しており、この細胞が分裂し、新たな角化細胞が作られます。分裂していくと、古い細胞は、上に押し上げられていきます。その際に、徐々に細胞は平たくなっていき(扁平化)、顆粒層まで行きますと、最後細胞は、それ自身の核や細胞小器官が消失して、つまり死んだ細胞が積み重なり角層となります。この角層が、皮膚において、物質のinside-outもしくはoutsisde-inの動きにおける最大のバリアとなるのです。
次回は、この表皮層のさらなる詳細な構造と、皮膚が形成するより緻密なバリア機能について、記述し、私の専攻である薬学と絡めて、お話ししたいと思います。

セントポール大聖堂のdome頂上からのテムズ川

セントポール大聖堂のdome頂上からのテムズ川

後半部

留学先であるロンドンは、人種のるつぼと言われるように様々な人種構成からなっています。また、そこに設立されているロンドン大学も、多くの国と地域から学生・職員が集まっており、私の活動場所である薬学校のDepartment of PharmaceuticsのPh.D.学生の半分以上は英国外やユーロ圏外の学生です。Ph.D.学生のオフィス内は多々、討論の場となり。科学研究だけでなくユーロ圏内外またはアジア圏の時事ニュースに至るまでその話題は世界規模であり、みな自身の意見をとことんぶつけ合っていました(一番最初のカルチャーショック)。それでも最終的には、betterな答えを見つけし議論が収束していました。彼らは関心ごとの幅が広く、それは国・地域を選ばないこと、そして、文化的背景や価値観の違いに寛容的であり、相互理解に長けていることに気づかされました。”多様性”とそれによって養われる”寛容性”、今現在そしてこれからの日本の大学教育において、非常に重要な点ではないかと感じました。

 

テムズ川southbankからのセントポール大聖堂

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