認知神経科学の基礎理論を学習すると共に、認知神経科学の一領域である感性工学の手法に基づき、「西洋の感性」と東洋(日本)の感性との比較を、量的・質的両側面から実地調査する

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ホホウ! 本日の更新は吉岡悠さん(自然科学、複合・融合系人材コース/ゲント、ベルギー王国)の日本代表選手紹介記事です! 西洋人と東洋人の「感性」の本質的違いについて研究するとは…!?

基本情報

吉岡悠

コース:トビタテ1期生 自然科学&複合・融合系コース

期間:2014年9月16日~2015年9月13日

留学先:Ghent University, Faculty of Psychology and Educational Sciences, Department of Experimental Psychology (Master)

所属(日本): 早稲田大学文学部心理学コース臨床心理学(認知行動療法)ゼミナール
同大学教育学部図書館司書任用資格修習課程
同大学全学共通副専攻Global Leadership学
同大学生活協同組合読書企画委員会Book Portal

以前の留学歴: 13―14 Thematic Study Abroad Program (Natural Sciences) at the Boston University

留学計画の概要(応募書類原文ママ)

欧州の多言語・多文化社会の中心地にある世界トップレベルの大学(Times世界大学ランキング100位圏内)で、認知神経科学の基礎理論を学習すると共に、認知神経科学の一領域である感性工学の手法に基づき、「西洋の感性」と東洋(日本)の感性との比較を、量的・質的両側面から実地調査することを目的とする。近代において常識とされた人間存在の物心二元論は、現代では認知神経科学における脳機能(≒心)の解析の進展と共に急速に物=心一元論に収束しつつある。本留学においては、現・アメリカ留学中に発見した西洋人と東洋人との「感性」の異なりの本質を、認知神経科学に基づいた科学的調査を通じて具体化し、またそれを成果物として論文形式で発表する。併せて、本研究を実施するにあたり隣接領域の研究者として将来1人立ちするために重要な、語学力・学術技法の実践的習得に努める。

学習・実習の目的と達成目標(応募書類原文ママ)

1.綿密な研究準備活動 の実施=「欲望の明確化」(留学前~)
-本留学を、自らの将来設計に明確に位置づけること
-先行研究の調査を通じた、研究計画の策定&予備調査の実施
-関係人物・機関に対してのヒアリング調査の実施(日欧の科学者・機関、文化人・機関最低各10名)
-研究を発表する、適切な学会の選択

2.実地調査=「ヒトと人(自然科学と人文科学)とのクロスロードに立つ」
-研究計画に基づいた実験の正確な実施と、課題に対するフレキシブルな対応
-現地研究者・学生との積極的交流(講義・実習内外で)
-西欧文化の波に浸かって、自らの「感性」を最大限鋭敏化させる(自らの文脈の比較・対照化)及び、研究対象である「感性」の多面的な定義・意義の考察
-調査内容の分析・解釈にあたり科学的結果解析に、現地で学び取った西欧文化の知見を柔軟に応用すること

3.成果物の作成及び発表=「留学活動の結果の具現化」
-現地大学及び母校での、各指導教授との適切な交流を経た公的な「論文」完成(早大学士論文化)
-上記論文の学会誌での査読通過

4. Academic Skillの習得=「『研究者』の入り口に立つ」
-現地大学での成功的学習達成(各講義・実習をGPA4.0スケール中、平均3.5以上で合格すること。)
-学術英語の熟達 (TOEFLibt100点=欧米TOP大学院合格レベルの獲得)
-論文作成を通じた調査・研究・分析・発表のサイクルを実践的に経験すること

5.国際的教養の修練=「世界に相対する日本人となる」
-科学的調査実施の副産物としての、現地西欧文化の客観的な評価及び受容
-現地語の習得(オランダ 実用技能フランス語検定2級またはその同等資格の獲得)
-上記を通じた、文化的背景の異なる友情の確立

6.現地と「日本」とのコミュニケーションの促進=「感性の異なりを武器にした、価値創造の実践」
-現地大学文学部日本語学科や,現地観光協会など,既存の媒体を活用・巻き込んで日本文化を啓蒙する企画を最低一つ提案・実施すること
-現地の日本語学習者などに対して積極的にコンタクトを取り,ラングイッジイクスチェンジなどを申し込み、お互いの文化などの情報を交換すること
-ブログを開設するなどして、現地に興味のある日本人に生の情報を即自的に公開する。

7.本留学の経験・自己評価の積極的な公開=「後進の道を照らす」
-事前の米国留学の反省を踏まえ、より効率的な「学び」と「活動」の方法を多く試し、以って留学を志す後進に対して良い実験体となるべく努めること

8.日・欧研究者の恒久的人的ネットワーク構築(努力目標)
-研究活動に勤しむ中で築いた人的ネットワークを一時的なものとせず、恒久的なプラットホームとする仕組みを考え、実行すること。

志望理由(応募書類原文ママ)

私は大学のプログラムを通じて9か月間、ボストン大学に留学しています。現在は正規在学生が参加している2つの講義(認知心理学・数学)と、主に西欧からボストン大学に交換留学している同年代の学生たちが参加している経営学の講義の計3つを受講しています。誠心誠意学業に打ち込み、また学外活動として日本学の学生と積極的に交流して世界から見た「日本観」を再確認したり、寮内アクティビティに積極的に参加したりして、現地学生との生の交流に努め、見聞を広めております。日々発見の連続で、留学というものは人として成長するために最も効率的な手段であると、実感しております。

既に留学の恩恵を多大に受けていると自負する私が、この新たな留学の機会に(後進を差し置いても)応募しようと考えた理由は、主に以下の4つに集約することができます。

1.本留学で気が付いた発見を、客観的で具体的な形にしてみたいと思ったこと。

2.海外において受け身に学び、または参加するだけではなく、自らが主体となって周りを巻き込む活動をしたいと考えたこと。

3.自らのキャリアプランとして、研究者になることを志望していること。そのために、より将来に直結した学習プロセスを通じて、効率的に自らの専門性を追求し、即戦力となる実力を身に着けること。

4.本奨学金プログラムの趣旨が、上記自らの目的意識と極めて合致したものであると考えたこと。

第1の理由に記載した発見とは、西欧人と自らとの感性の異なりに関することです。短期間ながら異文化社会に身を置くものとして、私は様々な困難に向かい合いました。意思疎通がうまくいかないこと。自らの語学成長スピードに対する焦燥。寮のルームメイト(現地学生)との衝突。それらを通じた孤独感の高まりと、渡米前にイメージしていた通りには活動できないといったことに対する不安。一方で、数多くの予期していなかった喜びを知ることもできました。特に嬉しかったことは、日本に興味がある現地学生が自分にコンタクトを取り、訪ねてきてくれたこと。多くの外国人学生が日本、あるいは日本のポップカルチャーについて詳しく知り、ポジティブなイメージを抱いていること。それを糸口として多くの友情を築けたこと。そうした様々な価値観を持った友人たちとの交流を経て、上記に記載した困難の多くは、私にとって意味のないものとなりました。ボストンという世界から若者が集う学生街で、海外に立つ日本の若者が経験するであろう躓きや困難、または喜びを濃密に体験したことは、私の今後の人生に大きな意味を有することと思います。
さて、これらの困難や喜びというものは、全て価値観の異なりに起因するものです。ここから学んだことは、他者を思いやるという根本的な常識を共有している以上、「人間」に国境はないということ。ただし、文化や慣習という背景文脈の違いによって、おそらく見ている物や感じていることは異なっているのであろうということ。
ある時この「感性の異なり」の大きさが、意思疎通の難しさに直結していると気が付きました。例えば、ここで学んでいる留学生の英語力の差異というものは、Boston大学が入学条件を課している以上それほど大きなものではないはずです。実際、授業を通じて読んだ他国出身のnon-nativeの文章力は、私とそう変わらないものでした。しかしアジア出身の留学生との会話は、明らかに西欧出身の留学生との会話と比べて、スムーズにこなすことができます。(同様に英語母国者相手の会話でも、相手がアジアにルーツを持つ人だと理解がし易いようです。)母音や言語体系の問題なのかな、と考えながらも違和感を抱えていました。

最近、日本人留学生数人と現地学生とで、日本で評価されているアニメ映画「風立ちぬ」を観る機会がありました。映画館は満杯で、こちらでの評価の高さを知ることができたのですが、観劇中、明らかに笑いのツボや感動のツボが異なっていることに気が付きました。ここで知ったのは、「西欧の感性」というものは確かに存在する。そして、それは日本(東洋)の文化を好み、積極的に学ぼうとしている者に対しても同様である。彼らは「クールジャパン」の、彼ら自身の文化とは異なった価値観を愛しているのだ、ということです。この気づきは留学当初から自らに根付いていた違和感を、氷解するものでした。
そして、私は心理学、特に人間行動の科学的解釈とそれを応用することを趣旨とした認知臨床心理学を専攻する者として西欧人の感性というものに興味を持ち、東洋人(日本人)のそれとの比較を科学的に、すなわち主観上の構想ではなく、量的に計測して客観的な形にしたいと考えました。「感性」とは、人間存在が接する外界との狭間にあるものです。人間に対する外からの刺激‐内からの反応を量的に測ることを基礎研究として成り立った認知科学の文脈でこのテーマに挑戦することは、魅力的に思えました。もう一度留学して、世界でいまだ支配的な西欧人の感性と、それに対する「日本人の感性」を実地に浮き彫りにすることは、日本人の得意な価値創造活動に資するものではなかろうかとも思いました。
しかしながらこの欲望は現在のところはあくまで、自らの主観に則ったいわゆる「思いつき」に拠っています。本研究は、生の欧州人と日本人と、直接触れ合う場でなければ困難ですが、このような学術的冒険を、将来的に行うことは資金面でも時間的にも不可能です。大学院進学を考える学部四年生の私にとって、このテーマに挑戦することは時間的にも難しく、また進学以降は実績に連なる確固たる研究プロセスに取り組まなければならないため、断念する必要があることを、覚悟していました。

そうした中、この奨学金プログラムを知りました。自らの純粋な学術的疑問・発想を形にする機会があること。研究の内外を通じて米国留学中常に傍らにあり、助けてくれた「日本」というブランドの意味・価値について再考し、またはアピールする機会があること。これら課題発見・解決・価値創造のサイクルを通じて新たな知識と専門性の強化、友情を獲得し自らの将来へ繋げ得る最良の機会があること。第1期生として直前に短期の留学を経験した自分だからこそ、より効率的に学び、計画を実行し、同期や後進に一つでも多くものを伝える自信があること。天啓であると、思いました。

もし私に留学の機会を再び与えていただけたならば、期間中は日本を背負う覚悟で精いっぱい頑張り、その後は自らの経験を、後進の若者たちに伝えることに努めます。将来的にはこの経験を活かして大学などの研究機関または民間営利企業内で、自ら主体的に価値を発見・創造・解決する「価値創造のスペシャリスト」になりたいと考えております。
よろしくお願いいたします。ご精読賜り、ありがとうございました。

留学相談したい方は、Diverseasからどうぞ

1 個のコメント

  • 吉岡悠さん、そしてサイト運営者の方々、こんにちは!

    投稿日 : 2015年5月26日の「最新記事」をたった今、読み終えたところで、コメントを残すことを試みたいプラス要素が幾つか頭をよぎっているところです。
    マイナス要素は学年末つまり残る留学期間がわずかとなってしまったことと「基本情報」が古いこと。
    当サイト上では、応募体験の情報として「成立」するのだと思いますが、留学先から目と鼻の先のパリまで足を伸ばされることを考えたらタイムリミット直前!

    ご紹介したいのは、パリから20キロに位置するNeurospinとその中心となる研究者Stanislas Dehaeneです。彼はCollège de Franceの教授で、吉岡悠さんの研究分野をすばらしい説得力で講義している[Psychologie cognitive expérimentale]は、何年分も、VIDEOで見ることができます。youtube上では英語の講演も見られます。Neurospinの夏のバカンスがどんな時間割になっているのかはまだ確認していません。 とりあえず、お知らせまで。以上、02/06/2015 canyta