カンボジアからのトビタテ便り2 〜学生マネージャ時々サムライ〜

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本日の更新はカンボジアからのトビタテ便り2 〜学生マネージャ時々サムライ〜です。経営学というと理論が中心。それを涙あり、笑いありの人間ドラマを通して実践へと移していく彼女の奮闘を要チェック! 面白いです。

トビタテ便りとは

トビタテ便りの詳細についてはこちらのページをご確認ください。世界中に留学しているトビタテ生から、週に1度1ヶ月の短期集中連載を行ってもらっています。ルールは2つ。「留学先の写真を載せてもらうこと」と「普通の友達には話せないような濃ゆい専門の話を思う存分ぶちまけてもらうこと」です。

5月のトビタテ便りは3人のトビタテ生に書いてもらっています。本日の便りは、カンボジアから。現地で「サムライカレー」にインターンし、バイトには逃亡され、家には泥棒が入り、それでも頑張る嶋村温子さんです。マネジメントの難しさ、面白さを語ってもらいましょう。

 

はじめに

前回は4つの経営資源のうちの一つ、「ヒト」について基礎的理論「マズローの欲求5段階説」を使って紹介いたしました。
 第1回目 ヒト編
 第2回目 ヒト(続き)・モノ編
 第3回目 カネ・情報編
 第4回目 マインド編
今回は「ヒト」について実践的理論を使っての紹介+「モノ」のマネジメントを説明していきたいと思います。

本文

下記のような構成で紹介していきます。
第1章 〜実践〜 カンボジアのマネジメント ーヒト編
第2章 〜理論〜  
第3章 〜実践〜 カンボジアのマネジメント ーモノ編
 

第1章 〜実践〜 カンボジアのマネジメント ーヒト編

まず初めに前回のまとめです。
・ヒトが一番重要な経営資源であること
・新興国と先進国では求める欲求が異なること
・自分が「外国人」であるということ
 
第二は実践的理論であり、個人はより大きい満足を求めて組織に参加すると考えて作られる理論です。実践的理論には人間関係アプローチや人間資源アプローチ、ダグラス・マクレガーのX理論・Y理論などがあります。
その中の「マクレガーのX理論・Y理論」を紹介していきます。

X理論Y理論とは前回説明した「マズローの欲求5段階説」をもとにつくられ、1950年代後半にアメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーによって提唱された人間観・動機づけにかかわる2つの対立的な理論のことをいいます。
X理論においては、マズローの欲求5段階説における低次欲求(生理的欲求や安全の欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデルで、命令や強制で管理し、目標が達成出来なければ処罰といった「アメとムチ」によるマネジメント手法です。
Y理論においては、マズローの欲求5段階説における高次欲求(社会的欲求や尊厳欲求、自己実現欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデルで、魅力ある目標と責任を与え続けることによって従業員を動かしていく「機会を与える」マネジメント手法のことをいいます。

社会の生活水準が上昇し、生理的欲求や安全欲求などの低次欲求が満たされている時には、X理論の人間観によるマネジメントは管理対象となる人間の欲求と適合しないため、モチベーションの効果は期待できない。低次欲求が充分満たされているような現代においては、Y理論に基づいた管理方法の必要性が高い、とマクレガーは述べています。

つまり、前回の記事とまとめると
新興国や発展途上国はX理論、先進国にはY理論に基づいたマネジメント法が比較的適している
ということになります。

さて、実際はどちらのマネジメントが適しているのでしょうか。
結論から述べますと、「XY理論のどちらにも当てはまらない。強いて言えば新興国でもY理論のマネジメントが良い」と私は考えます。

①X理論の場合
カンボジア人はとても親切で、笑顔の絶えない人達です。そしてよく家族や友人と一緒にいます。日本人よりも協調性、団結力は強いと感じます。
そのため、X理論のように命令や強制はあまり好ましくありません。短期的に行うマネジメントであれば効果はあるかもしれませんが、長期的に行うと「見下している」と感じスタッフはサーッと辞めてしまいます。

また、絶対に人前で怒ってはいけません!
協調性があるからこそ、他の皆に見られながら怒られる状況はその人のプライドをひどく傷つけることになるのです。
一度、前の店長があるスタッフを叱ってしまい、そのスタッフがお店から出て行ってしまったこともあります(後日無事戻ってきました笑)。

もし注意したい点がある場合、その人を別の部屋に連れて行き、なぜ私が今注意しているのか理由も説明して注意する方法が良いです。
一番大事なのは、感情的にマネジメントをしてはいけないということです。私はまだその点が十分にできていないのが課題です。。。

よって、X理論のマネジメント手法は当てはまりません。

②Y理論の場合
Y理論。私はとても理想的なマネジメント手法と考えていました。しかしながら、その人を尊重しているようで実は大きなプレッシャーを与えています。

具体例を挙げますと、長く働くスタッフにfacebook広告をしてもらうためにお店用のPCを使う権限を渡しました。
しかし数日が経ち、他のスタッフから「彼は空いている時間PCをいじってばかりで、こちらに仕事を振るだけだ」と不満の声があがりました。そのときの私は、彼自身に欠陥があると考え注意しました。彼は「僕はやるべき仕事はちゃんとやっている。なんで僕が一方的に悪いんだ。」と言い、もうPCを触らないと返されてしまいました。

このときの私は、
PCの使う権限を与えたのだから、あとはうまくやってくれるはず。
悪い方向へ進むとそれは彼に責任がある。
と自分のマネジメントは間違っていないと考えてしまいました。

この考えはY理論で陥りやすく、その人を心理的に追いつめ、無意識に見下してしまっているのです。
よって、Y理論のマネジメント手法も難しいでしょう。
それでは、どういったマネジメント手法を行うべきでしょうか。
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上図はドラッガーの考える人的マネジメント手法です。
マグレガーのX理論とY理論はどちらも「支配」が基礎になっていると考え、尊敬と責任を基礎に置くべきだと言います。

まさにこの考えは、前回の記事と似ています。
「人は単純ではない」からこそ、尊敬をもって労働者と一人一人向き合うこと。
これは新興国のような、日本と価値観が異なる地でのビジネスでこそ大切なマネジメント手法になります。

この考えは今までのインターン先での失敗があって初めて理解できました。
もちろん、「ヒト」のマネジメントは業界や企業によって様々であり、正解はありません。しかしながら、文化や価値観の異なる海外、新興国も含めて「尊敬に基礎を置いたマネジメント」が重要であると考えます。

第2章 〜理論〜 生産管理論・在庫管理論 

モノの理論は、生産管理論や在庫管理論が主に挙げられます。モノのマネジメントは特に製造業をベースに考えることが多いですが、今回はインターン先である飲食業界を例に説明していきます。
どのように在庫を管理するかどうかは国ごとに大きく変わりません。棚卸し表や現金出納帳は日本と同じように管理しています。

しかし、扱う材料自体や仕入れ方法は異なります。

そこで今回は理論ではなく実践的に、カンボジアの食材や紹介していきたいと思います。

第3章 〜実践〜 カンボジアのマネジメント ーモノ編

食材の調達先はモノによって様々で、近くの市場、スーパー、イオンモール、日本食の卸業者等になります。
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野菜の種類は日本でも見かけるものが多い。
野菜は主に市場で調達しています。午前中の市場はとても賑わい、午後にはほとんど野菜はなくなってしまいます。上図のお店は現地の方だけでなく、在住している欧米人の方も訪れる種類豊富な八百屋さんです。
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市場で購入した野菜。
ピーマンにエリンギ、日本と比べて野菜は大きいです。
DSC_0261DSC_0263肉などは衛生面であまり良いとは言えないため、スーパーや肉屋で購入しています。
市場にもよりますが精肉、魚エリアは少々臭いがきついかもしれません。
 スーパーであっても
調味料やおしぼり、天ぷら粉などは日本食材を扱う卸業社から調達しています。2015年5月現在プノンペンにある食材卸業者は8社あり、ここ1、2年で急増したそうです。

現在プノンペンでは日本食を提供する卸し企業が増加していること、昨年(2014年)6月にイオンモールがオープンしたことにより、日本でないと手に入らない!というものはほとんどありません。
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2014年6月にオープンしたイオンモールは、日本のクオリティそのままです。

IMG_2211ソフトドリンクやアルコールといった飲料は、インターン先ではコカ・コーラと地元のアンコールビールから発注しています。アンコールビールはお店によって1$以下で飲めるほど安価です。

さて、発注する上で注意しなければならない点があります。

ここは日本ではありません。
そうです。
時間通りに来ません。むしろいつ来るのかわからないときもあります。
そしてよく言う言葉が「Busy」。大好きな言葉は「Busy」なんじゃないか!?と思うくらいよく耳にします。

当時、私は相手に言われたことを「そうなのか、しょうがないなあ」と素直に聞いていました。
しかし、そうすると自分の作業が遅れたり、何もかもが後回しになってしまいます。
これはポスターや看板を頼む印刷屋でも電気の交換や水漏れ修理を頼む業者も、あのコカ・コーラも同様です。

ではどうすべきか。

①何度も電話する。何度も確認する。

注文するときに何時に来るのかをまず確認します。。その時間に来ない場合は何度も電話します。ひたすら電話です。
もし「Busy」や「 Later」と言われたら、絶対に「なぜか」を問います。
日本と違って、急ぎでなくとも「私は〜だから、なるべく早く持ってきて欲しい」と伝えます。

「いや、それは当たり前でしょう」と思うでしょう。

しかし、できない人は意外と多いのです。
相手の立場になって考える、悪く言えば自己主張が少ない日本人は遠慮してしまうのです。
海外で仕事をする場合、この自己主張が重要になります。

②来てくれたときは笑顔で!

しかし、ただ自己主張するだけでは目的を伝えてるとはいえ図々しいと思われるかもしれません。
だから、発注したものが来たときは笑顔で対応しましょう。
忙しい( Busy)のに、すぐ持ってきてくれてありがとう!

この方法(ツンデレ戦法とひそかに呼んでいます)は効果的です。
その人と仲良くなってすぐ届けてくれたり、情報を教えてくれるときもあります。
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カンボジアの主な交通手段であるトゥクトゥクの後ろに広告を載せています。
個人的にドライバーと交渉してできるプロモーション方法です。
といっても、スムーズに行かないことがほぼ毎日起こります。
これが新興国でのビジネスの大変さでもあり、面白さです!
次回は「カンボジアのマネジメント〜カネ・情報編〜」について紹介していきます。