オーストラリアからのトビタテ便り3 〜田舎に泊○ろう!:Q〜

本日の更新はオーストラリアからのトビタテ便り3 〜田舎に泊○ろう!:Q〜です。農家の生活をコメディタッチで語る連載も終盤に。ブラック農家に休みはなし! 種まき刈取り収穫に続いて、なんとマーケットにも出店。要チェック!

トビタテ便りとは

トビタテ便りの詳細についてはこちらのページをご確認ください。世界中に留学しているトビタテ生から、週に1度1ヶ月の短期集中連載を行ってもらっています。ルールは2つ。「留学先の写真を載せてもらうこと」と「普通の友達には話せないような濃ゆい専門の話を思う存分ぶちまけてもらうこと」です。

4月のトビタテ便りは3人のトビタテ生に書いてもらっています。本日の便りは、シドニーとかにいる河島健太さんから。誰が読むのかこんな記事!という程本気で語る「農業」をお楽しみください。。(第一回はこちら

本文

ブラック農家…それはなんと妖艶な響きだろう。
過剰労働の先に待ち受けるのは、闇か光か…。
筆者がたどり着いた世界とは…。
君は今、新世界の目撃者となる!

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今回の「田舎に泊○ろう!オーストラリア」は「有機野菜農家」から。
それでは、生活の流れを見ていこう。

6時半:朝食開始
シリアルやトーストなど思い思いの食事で済ませていく。オーストラリアの農家ではごく自然なシーンである。
が、1リットルはあろうかという巨大なビンに入ったハチミツが、テーブルの上にドーン!と君臨している。トーストに塗ったり、ヨーグルトにかけたり。実はこれ自家製ハチミツである。既にこのサイトを見るほど冴えている読者には分かるだろう。そう、この農家は実は養蜂もしていたのだ。時期や花によって色が異なるのもまた面白い。

 

7時:労働開始
主な仕事は以下の通りだ。
芝刈り、雑草刈り、雑草抜き、水やり、水ポンプ操作、種まき、苗植え、収穫、土壌の管理などである。

芝刈り:1週間に1度のお決まりの仕事である。ゴーカートのような車でぐるぐる敷地を走り回る。綺麗に直線で刈っていかないと大抵怒られる。これが結構難しい。

雑草刈り:日本の田舎でもお馴染のランドトリマーを使ってブンブン雑草を刈り取っていく。石が飛び散り、目に入ることもあるのでゴーグルは必須だ。(初めに借りるのを忘れていて、眼球にクリーンヒットしたことは秘密。)

雑草抜き:畑の野菜の近くに生えている雑草は機械で処理することが出来ないので、やはり最後は人の手によって処理される。どんなに綺麗に抜き去ろうとも、数日もすれば全てが元通りだ。人類と雑草の戦いは終わらない。

水やり:基本的には畑に沿って穴のあいたパイプが通っているので、そのスイッチを入れるだけ。しかし、パイプが通っていない畑もあるので、その場合は長い長いホースで水やりをする。

 

水ポンプ操作:オーストラリアの農家は基本的に水道が通っていない。その為、雨水を貯めたり、地下水を汲み上げるシステムを各家庭が持つ。この農家では前者の雨水システムを採用している。屋根に降った雨水を専用の貯水タンク(10000L用)に貯め、その後ポンプで家や畑近くの小タンクまで送り上げる。そこから蛇口の水に届く仕組みだ。その為オーストラリアの農家に滞在すると必ず「ポンプ操作」という仕事が存在する。操作を忘れていると、蛇口を捻っても水が出ない…なんてこともある。

種まき:畑にファサーッっと、某料理コーナーの速水もこ○ちの様にまく場合もある。特に種子が小さい場合には粉のように振りまく。一定以上の大きさの場合、小さいポットにまいた上で温室管理する。特に発芽率が低い品種の場合、より丁寧な管理が必要になる。

 

苗植え:前述したポットにまいた種子が無事に発芽し、ある程度丈夫になってから植える場合だ。畑に穴を掘り、苗を壊してしまわぬよう丁寧に素早く植えていく。どれだけ丁寧に植えても、苗が弱い場合は枯れてしまう。苗植えは時に、盛者必衰の理をその身をもって君に教えてくれるだろう。キリッ

収穫:言わずもがな、農家最大の喜びである。その品種にあった刈り入れ方で収穫をしていく。特にEndive(エンダイヴ)やRocket(ロケット)などのサラダ菜は根から抜いてはいけない。なぜなら彼らは大変回復力が強く、気候に恵まれればものの1週間で元のようにフサフサに生え戻るからだ。とはいえ、無限の野菜ではないので、数か月もすれば食用に適さなくなる。

土壌の管理:これが最も肉体的労働になる。小トラック満載に積まれた1~2トンある野菜畑用の土壌をひたすら畑にシャベルで移す。トラックで畑の横に乗り付け、30℃超えの暑さの中、ひたすら手作業で移し替えるのだ。畑の区画によって使用する土壌が少し異なっており、安い土壌もあれば、高い土壌もある。高価な土壌をいい加減に扱い、こぼせば怒られる。(経験者は語る。)

以上が基本的な仕事になる。これを天気や曜日に合わせて行っていく。例えばこの農家では芝刈りは毎週月曜日、収穫は毎週金曜日と決まっている。

10時:モーニングティー
オーストラリアにはモーニングティーという素晴らしい文化が存在する。それはつまり、授業中におなかが鳴ってしまい、クラスの気になるあの子に笑われるなんてことは、この国には存在しないということだ。朝食と昼食の間の小休憩のようなもので、オーストラリアの小学校から大学まで広くなじんでいるそうだ。授業や仕事は一旦止め、紅茶やコーヒーと共にフルーツやマフィンなどのケーキを食べる。この農家では、どんなにくそ暑い日でもみんな平気な顔で激アツのコーヒーを飲んでいたので、初めは私も合わせていたが、まぁ当然無理なので、途中からティーなのに水を飲んでいたわけだ。(※ここは笑う所です)

10時半:仕事再開
アツアツのコーヒーのおかげで汗が滝のようだ。

1時:昼食
この農家でも例に倣って、サンドイッチやパスタなど簡単な食事で済ませる。

1時半:お昼寝
この農家で最も感動したシステムである。
「午後は暑いだろ?だから寝るのさ!haha!」
というホストの崇高な考えのおかげでぐっすり寝ることが出来る。
ちなみに曇りだろうが雨だろうが寝る。

3時:ティータイム
こちらはモーニングティーの午後版。寝起きのコーヒーで仕事モードへ。

3時半:仕事再開
暑さも少し和らいでいるような、いないような気温の中で、午前中と同じように仕事をしていく。

 

7時:仕事終了
日も暮れかけ、蚊も増える中、キッチリと道具を片づけ1日の仕事を終える。

7時半:夕食
この農家では、毎日の食事がほぼ自給自足だ。季節にもよるが常時15種以上の野菜を育て、実は数匹の肉牛を放牧で飼育している。時期が来れば屠殺し、ミンチやソーセージなどに加工した上で冷凍保存しておく。そうすれば1年中、肉には困らない生活が出来る。
最後には皿洗いをして、1日の全ての仕事が終わる。

8時:自由時間
テレビを見るのもよし、寝てもよし、各自自由な時間が過ごせる。もし暇があれば星を見ることをおすすめする。日本では沖縄などの南方まで行かないと見られない南十字星もオーストラリアなら簡単に見つけることができる。月明かりの弱い日には、天の川をはじめとする満天の星空が君の頭上に広がる。もっぱらこの農家では私は疲労のあまり、すぐ寝てしまっていたが。

そうして、肉牛農家よりも多忙な野菜農家の1日は終えていく。

さて、お気づきだろうか?
そう、1日9時間も労働しているのである!
これだけ平日働けば、さぞ素敵な週末があるのだろうと、お考えの読者諸君。考えが甘すぎる。
月月火水木金金。この言葉が似合う農家はそれほどいないと考えていた。
そして、最大の仕事が週末(土曜のみ)にやってくる……。

この農家で忘れていけない大きな目玉が、「マーケット出店」だ。
「収穫」の先である「販売」こそが、この農家で最も重視されているポイントである。
私の滞在したLismoreという小さな町では、Local Farmer’s Marketが毎週土曜日の午前中に開催される。そのため、金曜日の時点で収穫した野菜を洗浄したり、束にしていく。
そしてこの農家の大きな特徴が自家製のサラダ菜たちをミックスして、パック詰めし、少しの食用花を添えて売りに出していることである。
他の農家たちがマーケットでそのままの野菜を売っている中、唯一この農家だけが「加工」というステップを踏んでいる。獲れたサラダ菜は、洗浄→選定→洗浄→消毒→選定→脱水というWチェックを経て、グラムをはかりながらパック詰めされる。野菜は乾燥しないように湿度が保たれ、花も花束へと姿を変える。こうしてマーケット前日は慌ただしく過ぎていく。

 

 

マーケット当日。朝6時には朝食だ。Lismoreの農家のみならず、近郊都市から車で片道約1時間近くかけて出店にくる人たちもいる。

 

野菜・はちみつを初めとして、花・米・乳酸菌飲料などの健康食品でさえもズラリと並ぶ。地元のカフェも出来たての軽食を用意しており、市場でありながら、人々の憩いの場となっている素敵なマーケットだ。

 

 

このマーケットは約10年前に始まり、テナント料として各店舗が毎週25ドル(約2500円)を支払う。8時から12時まで開いているこのマーケットには、有機野菜や新鮮な品物を求めて多くの人が押しかける。

自分たちで育てた野菜を自分たちで売る。簡単そうに見えることだが、とても大変なことだ。それでもやりがいはある。「先週買ったサラダに虫が付いていたわよ!」とクレームが直接寄せられてしまうこともあったが、喜びの声も農家に直接届く。「作る」だけでも「運ぶ」だけでも「売る」だけでもない。その全てを自分たちの手で行う。やりがいは計り知れない。「どうすれば上手く育つのか」「どうすればたくさん売れるのか」1つ1つの行動に考えを巡らせ、日々試行錯誤していく。その結果、気が付くと日が暮れている。一見するとただの過剰労働のブラック農家かもしれない。しかしながら、その実態は「ただの労働」で終わらない価値があった。

 

 

私が初めてこの農家に来た時は、見たこともない野菜ばかりで、名前もすぐに覚えられなかった。育て方も食べ方も知らない野菜を育てる中で、コミュニケーションと知識を高めていく。いつからか、自信を持ってお客さんに野菜を勧める自分がいた。
「これは何?」 「どうやって食べるの?」
見たことのない野菜が並べば、人々は興味を示す。調理方法の分からない野菜があれば、おすすめの食べ方を教える。旬の野菜を粋な食べ方で食べる。「体がおいしいと感じる物を食べる。」有機農業が広く浸透しているオーストラリアならでは考えではないだろうか。

日本の農協物産販売所やマーケットでは感じられない、「生の声」「リアルなオーストラリア」がそこにはあった。

 

次回予告【最終回】
牛にキレて、キレられ、農夫にキレて、キレられる筆者!
容赦なく照りつけるオーストラリアの太陽!
汗まみれ、泥まみれ、ウマいメシ、少しの酒から成るこの日常!
オーストラリア農夫・世界中からやってくる若者へのインタビュー!
筆者が見つけ出し始めたものとは…!?
次回もサービス!サービスぅ!

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